「抵抗勢力との向き合い方」オフィシャルブログ

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抵抗勢力とどう向き合えば良いのか

今回は、著者である榊巻が、どうしてこの本を書いたのか。その背景について紹介します。(※本書の冒頭の内容の一部です。)

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企業変革の成否は「態勢の質」で8 割決まる
 この本のテーマは企業の変革活動、つまり変革プロジェクトにおける
抵抗勢力との向き合い方」である。成功する変革プロジェクトは必ず2
つの質が伴っている。

 1 つは「企画の質」である。優れたコンセプトやロジカルな分析、本質
に迫った施策案などが企画の質に直結する。一般に、プロジェクトを進め
る際には企画の質にフォーカスが当たるが、もう1 つの「態勢の質」には
ほとんど注意が払われない。プロジェクトの勢い、関わっている人のやる
気、これで会社を変えるぞという熱量、納得性、モチベーションなどがそ
れだ。

 変革プロジェクトは実行を担うチームを中心に、経営トップや部門長、
現場担当者に至るまで、様々な関係者を巻き込んだ活動になる。当然、み
んなが危機意識や改善意識を共有していれば態勢の質は向上するが、意識
がバラバラであれば抵抗が生まれ、態勢の質はどんどん悪化し、プロジェ
クトは失敗に終わる。

 関わった人全員がモチベーション高く、使命感に燃えているようなら態
勢の質は向上するが、他人事として捉えて、やる気がなければ態勢の質は
悪化し、実行に漕ぎ着けるのは難しくなるだろう。

 立派な計画書があっても、実行されなければ絵に描いた餅。そして変革
プロジェクトは機械ではなく、人が行うものと考えると、企画の質と態勢
の質、そのどちらの質が成否を握っているか一目瞭然だろう。別の見方を
すれば、「態勢の質」は「人の抵抗」ともいえる。

 では、態勢の質を高めるために、抵抗とどう向き合えばよいのか。これ
は変革プロジェクトにまつわるセミナーを開くと、一番多くもらう質問で
もある。
・現場の抵抗が強くて…
・キーパーソンを巻き込めなくて…
・メンバーが陰で反対意見を言っているらしく…

 悩みはどの企業でも共通している。しかし、抵抗と向き合うのは本当に
難しい。抵抗は人の気持ちに強く影響を受けるため、どのタイミングで何
をすべきかは、人と人とを取り巻く状況によって大きく異なってくる。こ
れだけやっておけばOK、なんてお手軽なメソッドや分かりやすいフレー
ムワークは存在しない。

 そのうえ、一度失敗すると取り返しがつかないことになる。崩れてし
まった人間関係や失ってしまった信頼を取り戻すのは、想像を絶する努力
が必要になる。短期決戦のプロジェクトでは一発で致命傷になるだろう。

 タチが悪いことに、こうした変革プロジェクトを何度も経験できるビジ
ネスパーソンはほとんどいない。つまり、多くの人がほぼ手探りの状態
で、初めて抵抗と向き合うことになる。「セオリーなし」「失敗は許されな
い」「初めての経験」──。この三重苦が変革プロジェクトを劇的に難し
くしているのは間違いない。

 

本書の特徴は「体系立った解説」と「現場感」

 臨場感あふれる小説仕立てで変革プロジェクトのサクセスストーリーを
紹介した書籍は多いが、固有のストーリーであるがゆえに、読者が目の前
のプロジェクトを成功に導くための指南書としては使いづらかった。そこ
で本書はプロジェクトの局面ごとによく出る抵抗の例、マズイ対処の仕
方、良い対処の仕方などを体系立てて、かつ、実例を交えて解説する。そ
うすることで、実プロジェクトでそのまま使える指南書を目指した。

 また、変革を支援するコンサルタントの立場で書いた書籍は多いが、第
三者の立場であるがゆえに、どこか現場感が足りなかった。泥臭さが足り
ないと言ってもいい。

 筆者はコンサルタントとして、多くのプロジェクトに関わってきたが、
前職(大手建設会社)時代にも多くの変革に関わってきた。1 人の担当者
として変革に抵抗したこともあれば、社内変革を推進するリーダーとして
同僚からの抵抗と向き合ったこともある。

 だからこそ分かるが、抵抗する側にも理屈がある。推進するリーダーに
はリーダー特有の苦悩がある。それぞれの事情を理解しなければならな
い。抵抗は決して、正論だけでは解決しないのである。本書ではそうした
「現場感」を大事にしながら、実際にプロジェクトで使って効果が高かっ
た方法論だけを詰め込んだ。具体的で実用に耐え得る内容になっていると
自負している。

抵抗勢力との向き合い方
榊巻 亮
日経BP社
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